現場を仕切るのが研究の出発点

第180回

平成26年度水産学技術賞に三重県水産研究所A氏の「高品質アコヤガイ真珠の効率的養殖技術の開発と実用化」が選ばれました。大変名誉あることです。アコヤガイの生残率を高め、真珠の品質を向上させることが現在火急に問われているからです。

氏は育種技術の開発を柱のひとつにしており、精子の凍結保存の研究を手掛け、それを成就させています。更に私など氏に凄さを感じるのは「閉殻力」や「低塩分海水区」などこれまで存在していなかった方法や器材を独自に開発し目的実現にアプローチしていることです。ある意味で真の研究者の証拠を見せてくれているのです。

最後に筆者のお願いを一言。

“「光沢・干渉色」は真珠層を形成する結晶の積層構造や厚さに依存し、漁場環境や母貝の能力の影響を受けると考えられる。”

「光沢・干渉色」すなわちテリに対して既存の定説を踏み越えて是非取り組んで頂きたいという一言です。

(JOW-Japan新報 2015年11月)