暗闇の中の黒猫

第169回

コロンビア大学のS・ファイアスタイン教授が書かれた『イグノランス―無知こそ科学の原動力―』を読んでいます。本の中で教授は、科学が日々どのように進歩していくのか、最も適切な言葉として、「真っ暗な部屋の中で黒猫を探し出すのはとても難しい、そこに猫がいなければなおのこと」という古い格言を引用しています。

一昨年機会があって、国立真珠研究所の創立(1956年)から閉鎖(1978年)までの22年間の全論文(251点)を読みました。真珠養殖のあらゆる分野への研究の切り込みです。

36年たった現在のアコヤ真珠養殖の実情を考えてみましょう。価格、品質、母貝、ピース貝……諸問題が以前と同様に山積しています。養殖法の進歩のためには、諸文献を読むと言った勉強ではなく、自分の真珠の欠陥を先ず1つ探し出すこと。次に漁場特性や工程分析を徹底して行い、是正する具体的方法を見つけること、それを生涯続けることです。