真珠の透明感

第167回

真珠を最も厳密に観察している加工の現場では、テリに良さを独特の表現で言い表しています。「カチッとしている」「透明感がある」「自分の顔が良く写る」等々です。問題はこの「透明感がある」をどう解釈するかです。真珠越しに景色が透けて見えることではない筈です。

テリとは、真珠表層で起きる光の干渉現象のことです。この現象は光が作る色彩が現れることを意味します。この光が作る色彩の特長は、それがピンクでもグリーンでも他の色でもそうですが、現象が強く起きれば起きる程、より一層鮮やかになっていきます。絵具で作る色彩とは反対に、光が作る色彩は、彩度、明度をどんどん上げて出てくるのです。

真珠の中から出てくる、この濁りの全くない、彩度・明度が最高の、光が作る色彩のことを「透明感がある」と表現したのではないか、テリ最高の表現への私の考察内容です。