先天的か後天的か(その3)

第166回

真珠の生成は、養殖時代になった今も、複雑・難解な問題が山積しています。海と生き物(貝)という無数のファクター(要因)を持つ世界の合作品ですから当然なのでしょうが。表題のテーマについて、これまで2回も述べてきました(No72、No116)。

最近ではテリについてもピース貝(外套膜切片を提供する貝(ドナー)を指す)のそれが遺伝するという学説が有力になっています。ある本(ジェイムズ・トンプソン『凍氷』)を読んでいて「子どもの頃はいろいろなことがあって当たり前だ。だが最高の子ども時代を送っても、しっかりした大人になるとは限らない」という個所で気が付いたのです。自分にとって大切なことは「この学説の受け止め方にある」ということです。即ちテリは先天性で決まるのか後天性で決まるのかという「二者択一」を離れ、テリの中で何が先天的で、何が後天的かという「二者止揚」とも言うべき立場です。

それにはピース貝真珠層と、真珠の真珠層の徹底分析、電子顕微鏡を使ったミクロンレベルの分析が必要です。