第164回
現在でも養殖半形真珠は作られています。大多数のマベ真珠がその代表です。球状と半球状の真珠、両者にはテリという観点から見て違いがあるのでしょうか。私は「ある」という見解です。
ブラック系真珠を一例にします。この真珠を白いクロスの上に置きますと、周縁部に鮮やかな緑の光彩が浮き上がっています。さらに下半球を除いてみると緑や赤など「七色の光彩」が縞状に出ています。白いクロスからの反射光で、下半球に反射の干渉色が全面的に出ているのです。この現象を厳密に言いますと、上半球の半分(入射角45度)まではこの反射干渉色が出ているのです。これが周縁部の緑の光彩の正体です。
下半球に全面的に出ている反射の干渉色を普通に見ることは出来ないのでしょうか。答えは簡単です。白いお茶碗に入れるのです。下半球に出ていた「七色の光彩」が上半球に移って鮮やかさをアピールしています。球体であるが故に出来ることなのです。