アコヤ真珠が生き残るために<その10>観察力と発想が必須

第160回

真珠養殖現場での技術改良に携わって20年以上になります。無数のファクターが絡み合った世界ですので未だ顕著な成果を挙げえていません。この間ひとつの疑問が執拗に頭に絡みついています。それは、貝の生殖巣の中が真珠を作る場所だということです。

和田浩爾先生は、「冬眠から覚め、夏場に向けて産卵行動が続き、9月以降は冬眠に向けて栄養物を貯える時期になる。これに同調して、石灰化速度が大の夏場は、結晶は大きく成長せず、冬場に向けて結晶は大きく成長する、すなわちテリがアップする」と指摘しています。この指摘は場所が生殖巣だから言えるのであって、天然真珠のように外套膜の中が場所であれば言えないのではないかという疑問です。更に真珠袋に対する圧迫という物理作用も別の思考としてあるべきとも思っています。

真珠の命であるテリの促進には、注意深い観察と、大胆な発想の転換が必須なのです。