第159回
光が、特殊な構造に当たって特定の色を反射あるいは透過させることを構造色と言います。真珠のテリもこれに該当します。モルフォ蝶や孔雀の羽などはその代表例です。ニュートンもその著書(Newton「Opticks」1704)の中でこの現象を追究していますが、本格的研究は20世紀以降に始まりました。それらの研究で明らかになったことは、幾つかの現象が絡み合った複合現象だということです。モルフォ蝶の羽の場合、鱗粉が多層膜構造を有していますから、光の干渉現象が主体ですが、さらに回析効果がこれに加わっているといった具合です。
真珠のテリも、光の反射よりも、実際には透過の干渉現象が主体です(本連載No156,157参照)。テリの良いアコヤ真珠を黒いクロスの上で見ますと、中心部が緑、その周りを赤色が囲んでいます。これらの色が透過の干渉色です。そして頭頂部に映っている蛍光灯を、できたら10倍ルーペでご覧になってください。鮮やかな赤や緑の反射干渉色が見えます。真珠も複合現象なのです。