アコヤ真珠が生き残るために<その8>真珠層の妙

第158回

“ドブガイ”と総称されている淡水産の貝は大多数の養殖真珠にとって必要不可欠の存在です。この貝の貝殻から核が作られるからです。この内面真珠層は極めて分厚く、直径7、8ミリの核でも十分取れるのです。

この内面を観察しますと、貝殻先端部は虹彩に輝いているのですが、後端部は全く輝きがありません。同じ真珠層でありながら虹彩の有無があるのです。理由は真珠層を構成している結晶層の厚さに格差があり、先端部は薄く、後端は厚いのです。先端は虹とほぼ同じ波長で0.4から0.7ミクロン、後端はその10倍以上の厚さです。

この貝は川底の泥の中に半分以上埋まって立っています。川に流されないためにその箇所は厚くなっており、先端は口を開けて餌を取るため薄いのです。虹彩即ち真珠のテリは真珠層があるから起きるのですが、より厳密に言いますと、真珠層を構成している結晶層の厚さが虹と同じ波長の時、テリが出てくるのです。真珠層だけでは不十分なのです。