アコヤ真珠が生き残るために<その6>球体のおもしろさと深み

第156回

ちょっとばかり視点を変えますと、真珠というのは、核の上に真珠層だけで出来た球状の覆いをかぶせているようなものです。真珠層は孔雀やモルフォ蝶の羽のように、色彩を伴った輝き(光の干渉現象)を放ちます。当然この球状の覆いもこの輝きを放つのですが、その放ち方が、世界で唯一の異色さを持っています。それは「真珠層だけで出来た」「球状」という2つに秘密があります。

真珠層に入った光は、反射で干渉を起こす場合と、透過で干渉を起こす場合の2つに分かれます。私たちが見慣れているアコヤ真珠のピンクやグリーンの光彩は、定説とは異なり、真珠層を透過して出てくる透過の干渉によるものです。これは非常に珍しい事例です。

反射による干渉はどこに出ているのでしょうか。球体である真珠が球面鏡として働き、光源像が映っていますが、その像の周囲をルーペで見ますと像に沿って赤や緑のラインが見えます。それが反射の干渉により現れた光彩なのです。