アコヤ真珠が生き残るために<その5>美しさの永続性

第155回

私の真珠人生50年の中でも、思い出すたびに光彩を放ち続ける場面があります。

5500年前の遺跡から発掘された大粒の真珠に関する鑑定の時です。1985年、福井県の鳥浜貝塚から丸木舟と一緒に発掘された真珠(?)の鑑定です。先ず本物の真珠であるのか、真珠だとしたらどういう真珠で、どんな貝から出たものかというのがテーマです。5千年以上の間、一種の水漬け状態で真珠の保存が可能なのか、先ずそのことが頭をよぎりました。

結論として、本物の、ブリスターパールという貝殻に付着した真珠である、それを人間が道具を使い剥がしたものである、淡水産の二枚貝から採れたものである、カラスガイであることが十分推定できる、と言うのが報告書の内容でした。これまでの記録を2千年延ばした日本最古の真珠は、顕微鏡下で七色の小さな光彩にあふれていました。この現象は、カルシウムの小さな結晶が積み重なってできる真珠層が5千年間耐えたことの証拠です。