アコヤ真珠が生き残るために<その3>誤解は未だ解けぬまま…

第153回

「真珠の研究は16世紀の中頃から世界の諸学者によって行われた。当時は真珠の中心をなす核についての研究がおよそ二百年続いた」(磯和楠吉「真珠成因研究の史的概観」国立真珠研究所報告1、1956年より引用)。

日本で真珠養殖法が発明されたのが1904年ですから、350年の研究史のうち200年余が「何を核にしたら真珠ができるのか」という切り口で研究がなされていたわけです。しかしこの切り口では何百年研究しても養殖法は見つかりません。「貝はどうやって貝殻を作るのか」と言う切り口に立った時養殖法は見つかったのです。

しかしこの新しい切り口を完璧に理解するのは極めて困難です。細胞移植、DNA、遺伝子等の分子生物学の世界だからです。現状はほとんどの人たちが核を入れると真珠ができると信じています。理論は別にして養殖技術は比較的簡単です。それ故世界中で真珠は作られているのです。真珠のグローバル化が始まっているのです。

元祖日本は、分子生物学に立脚して、美しいアコヤ真珠作りに磨きを掛けるべきです。