アコヤ真珠が生き残るために、その1

第151回

2012年4月、小論を発表しました。題して<「真珠を売る時代」から「真珠の美しさを売る時代」への21世紀的転換>です。書いていてやや説明不足の難を感じていましたが、ここにきてその理由が分かりました。真珠を作る現場をひとつの舞台に例えると、20世紀から21世紀にかけてこの舞台が大きく様変わりしたということ、日本だけがアコヤ真珠を作っていた時代を第1幕とすると、世界中で作り始めた第2幕に入ったということが強調されていなかったのです。日本の現在の生産量がかつての3分の1以下であるにもかかわらず、かつての価格以下という理由もこれで分かります。現在世界の生産量はかつての16倍以上です。これらが世界の隅々まで販路を広げているのです。では日本のアコヤ真珠が生き残るには、ひとつ言えることはテリに依拠することです。連載でその中身を追究してみます。