ビーナス

第145回

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、「オーロラビーナス」は、シルバー系白蝶真珠の最高品質に対する特別呼称です。

白蝶貝の貝殻は昔から、その真珠層の美しさの故にボタンの材料として珍重されてきました。いかなる服地にも映えるボタンのその輝きは、採集地であるオーストラリアのアラフラ海の神秘性を強調してきたのです。

オーロラビーナス」の特質はどこにあるのでしょうか。勿論アコヤ真珠と比較しての話です。先ずサイズです。直径13ミリが平均値です。アコヤ真珠の4倍の表面積が、「面」の滑らかさとして私たちの視野に飛び込んでくるのです。次にテリにも独自性があります。「鋭い輝き」というより「いぶし銀のような輝き」です。これは未だ仮説の段階ですが、多重層反射と言うダイヤモンドダスト(零下10~20℃の気温で、空気中の水蒸気が氷結、太陽の光を受けてキラキラ輝きながら空から降ってくる現象)に似た現象が光の干渉と同居して起きるのです。