ピーコック

第137回

1970年代から、養殖の成功により、市場にクロチョウ貝産出の黒蝶真珠が現れました。“ピーコック”呼称はその時代に、テリのすばらしい珠について生まれた言葉です。珠の周縁部に現れる鮮やかな緑や赤紫の色彩が孔雀(ピーコック)の羽のそれを連想させるからでしょう。名付け親は不明ですが、この天才的発想には敬意を表します。

1665年イギリスの大科学者ニュートンは、その著書『Opticks』で孔雀の尾羽部分が、見る方向で色が変わることを観察し、光の干渉現象を予告しました。その後20世紀初頭レイリー卿ら物理学者がこの現象を「多層膜干渉」として解明しました。2006年私たちは、真珠のテリがこの多層膜干渉の一種であり、特に黒蝶真珠ではひとつの典型として現れることを究明しました。

「ピーコック」は、当社では黒蝶真珠のテリ最強を強調する鑑定用特別呼称です。