ロゼ rosē

第134回

私どもが発行している鑑別鑑定書の中で、テリ最強を強調する一連のシリーズがあります。「ロゼ rosē」は、アコヤ真珠の中でピンクの干渉色がひときわ強く出ているものに対する呼称です。この種の真珠の希少性は、次の光学的条件を満たさなければならないことからも分かります。先ず真珠層を構成する結晶層の厚さは、0.3ミクロン(±0.02ミクロン)です。この値の時、全球面にこの色が出るのです。さらに形はほぼラウンド系です。ゆがみは光の入射角度が変わり別の色が出てきます。黄色色素の存在や、調色処理は混色作用を起し、この色に濁りを与えてしまいます。

真珠層の中で光のみが作るこのピンク色は、100%に近い鮮やかさを有しています。「一点の濁りもないピンク」あるいは「透明感を伴ったピンク」と形容しても良いでしょう。“0.3ミクロン”は四季を持つ日本の海と、日本産アコヤガイの最高芸術品なのです。