サイズと価格の関係見直しを

第178回

真珠の価格に最も大きな影響力を持っているのはサイズです。アコヤ真珠のネックレスを例にしますと同一品質の場合、0.5ミリ毎に価格は30%アップします。サイズを大きくするには、それだけの時間が必要です。同時に危険負担も非常に大きくなるからです。

この常識を超える技術が現れました。“直入技術”です(脚注1)。挿核手術を終えて1、2年後浜揚げが行われます。その時、貝を殺さずに、出来上がった真珠が入っている真珠袋の一部を少し切ります。顔を出した真珠をピンセットで取出し、代わりに同サイズの核を入れます。真珠袋は直ぐに再生し、核を覆います。1、2後より大きな真珠が出来ています。30年前からこの“直入技術”がシロチョウ真珠で行われ、今ではクロチョウ真珠でも広く実施されています。熟慮するに対処策は2つあります。1つはサイズと価格の関係の全面的見直しです。2つはテリと価格の関係を、このグローバル化の時代に新設することです。

                                                                                               脚注1:牧健三、真珠形成法、1923年(大正12年)特許第44875