100回記念④、本質は「テリ」に

第100回

――その対応と将来展望は…。 美しい真珠とは何かということが次に問われてきます。この問いは実は真珠の本質は何かということでもあるのです。この問題については、ひとつの結論に至っています。それは「テリ」です。真珠で起きる光の干渉現象です。この現象の詳細については今後も連載の中で報告していくつもりですが、特筆すべきことは、自然界に見られる数多くのこの現象(例えば蝶や孔雀の羽)の中で、真珠だけが唯一、球体で起きる実例だということです。 「テリ」は真珠が持つ繊細な構造から生まれます。タンパク質とカルシウムから成る、ナノレベルの数百、数千個の同心円状の積み重なりです。この固有の構造が光をキャッチして、あの輝きと光彩色を放つのです。従って真珠の本質とは、「テリ」の現象という側面とそれを生み出す構造体という側面の2つから成るわけです。真珠の手入れ、保存、修復というメンテナンスが、この繊細な構造と深くかかわっている本質問題である所以です。