第132回
地球上には2つの色があります。色素や絵の具などから成る色と光が作り出す色です。真珠にもこの2つの色が共存し、宝飾品としての美しさを演出しています。光が作る色のことを光学的には構造色と言い、5つの現象、薄膜干渉、多層膜干渉、回析格子、フォットニック結晶、光散乱から説明されます。
自然界にはこの構造色の実例が沢山見られます。タマムシ、コガネムシ、クジャク、ネオンテトラ、モルフォチョウ、等々です。これまでの研究で分かってきたことがあります。それは5つの現象が複雑に組み合わさって個々の実例を作っているということです。となると真珠のテリも、多層膜干渉のみの説明でこれまで済ましてきましたが、果たしてそれで良いのか、根本的なところで考え直す必要があります。最近、白蝶真珠の雪原のような輝きを見て、多層膜干渉とは別に、ある種の光散乱が関与しているのではと考えています。