色の不思議さ

第92回

私たちの世界では、色には2種類、「光」が作る色と染料や顔料など「物質」で描かれる色があります。そしてこの2つの色が密接にからみあって私たちの色の世界を作っているわけです。例えば赤は着物や化粧品として古くから生活の中に入っている色ですが、その語源を見ると、アはアレ{現}のア、カはカガヤク(輝)のカで、太陽が現れて輝くことへの感嘆だそうです。太陽の光からくる赤色と、着物の染料で染められた赤色の共存です。 真珠の場合も2つの色は共存しています。真珠層のカルシウム結晶層と接着しているタンパク質の色素からくる色と、その結晶層の構造が生み出す光の干渉現象からくる色です。 色にはもう1種類、「生理」からくるものがあります。「ベンハムのコマ」という白黒の円盤をまわすと、何と赤や青の色が現れるのです。真珠の場合も糸換えなどで、元の珠はもっと白かったなどというクレームがこれに該当する場合があります。