細胞

第63回

細胞というのは実に不思議な存在です。 真珠は貝体内の真珠袋という一種の臓器で作られます。この真珠袋も、細胞という観点からみれば、「外套膜外面上皮細胞」という特殊な細胞からできています。 アコヤ真珠の直径7ミリ、まき厚0.4ミリという最も平均的な真珠と細胞の関係を計算してみました。直径7ミリの真珠はほぼ直径7ミリの真珠袋に取り囲まれています。細胞の大きさは約10ミクロンですから、真珠袋は1300万個の細胞からできていることになります。 まき厚0.4ミリの真珠層は、厚さ0.3ミクロンのカルシウムのレンガ2千2百億個からできています。このことは細胞レベルからみると、真珠袋の1個の細胞は年間1万7千個のレンガを作って真珠作りに励んでいることになります。