稜柱層

第98回

稜柱層(りょうちゅうそう)、専門用語ですが、真珠のことを勉強する人たちにとっては必須用語でもあります。貝殻の強度を上げるための柱や梁のような役割を果たしています(第77回参照)。顕微鏡下で、角張った柱の集合体として観察されます。 この貝殻構造体が何故か真珠の中に突然できる場合があります。出来るパターンもいろいろです。真珠層の代わりに稜柱層だけが核の周りにできているといった極端なものから、微小な一部として存在している場合など様々です。何故出来るのか、詳細は分かっていません。しかし状況証拠のひとつに、夏場の高水温時、大量死の中で生き残った貝のキズだらけの真珠の、そのキズが稜柱層で出来ていることから、衰弱とは関係があるようです。 何年か前に買ったペンダントの真珠に、小さなキズが現れたというクレームがありました。調べたところキズは稜柱層起因でした。貝を弱らせてはいけないのは鉄則です。