真珠の夢を広げたスギ花粉症治療法

第128回

「真珠養触法の発明の凄さは、今から百年以上前に一種の臓器移植を考えだしたことにあります」常々私がセミナー等で話していることです。この凄さの中味は、専門的には免疫細胞、アレルギー等現代医学の最先端の領域に属するからです。イケチョウガイにカラスガイのピースを移植しますと、生成するのはカラスガイの色素を持った真珠です。このことは「異種間移植」として真珠の専門家の間では広く知られていることですが、淡水の貝のみに起きることで海の貝では不可能と言われてきました。 2011年1月、愛媛新聞がショッキングな記事を掲載しました。「アコヤ貝で“黒真珠”、愛媛大教授らの研究グループ」マベや黒蝶貝の真珠をアコヤ貝で作ったというのです。この不可能を可能にしたのは、何とスギ花粉症の治療法です。花粉アレルゲンを注射し続けることで一種の免疫を作ることを応用したのです。名付けて「免疫寛容誘導」と言います。