球を選る

第97回

真珠の品質は5つの要素に大分類されて評価されます。色、テリ、まき、キズ、かたちの5つです。価格設定もこの品質評価を前提とします。ここに1本のアコヤ真珠のネックレスがあります。サイズを7ミリ台としますと約56個の真珠から構成されています。そしてこの56個の真珠は、5つの品質要素がすべて同じ評価のものから成り立っています。例えば色は黄色みが全くない、テリは最強、まきは十分厚く、目立ったキズは全くなく、かたちはほぼ真球に近い56個の真珠から成るとこの製品はトップクラスです。 重要なことは、こと真珠に関してはこれらの評価はすべて人間の目で行われているということです。機器測定では不可能な微妙な差を峻別できるのは人間の目しかないのです。この「選別」作業は、地味ですが真珠産業を根底から支えている土台なのです。1時間に1万個の“球を選る(たまをよる)”、観察力と判断力を持った習熟者(プロ)を育成するには10年は必要です。