第79回
黒蝶真珠というのはアコヤ真珠の対極に存在すると思うことがあります。単に色の白さ黒さと言っているのではありません。大多数のこの真珠は南太平洋のタヒチ産ですが、此処は南半球です。北半球とは気候が逆です。2月が一番暑く、8月がもっとも寒いということになります。挿核も浜揚げの時期もアコヤ真珠とは反対になります。
アコヤ真珠は黄色い色素を持っています。従って生産者はいかに黄色を持たせないか、白の追及に生産での努力を傾注します。一方、黒蝶真珠は赤、黄、緑の三原色の色素を持っていますから、生産者は多様の色彩の産出に傾注します。さらに決め手が、光が奏でる光彩色の違いです。アコヤは真珠の上半球にピンクの光彩が出ることを持ってベストとしますが、黒蝶は真珠の下半球にグリーンというピンクの対極の色が出ることをベストとしているからです。
両者は対極であり、同時に補完の関係にあるのかも知れません。