存在する物に論理ありーその1

第77回

「真珠とは貝の体内に出来た貝殻である」と喝破したのは、19世紀ドイツの偉大な動物学者ヘスリングです。しかしここで言う貝殻なり真珠なりは成分や構造の上での共通項を指しているのです。本来の役割という面から見ればこの二つは全く違った存在です。 貝殻を例にしてみましょう。貝殻の役割は貝の軟体部(体)を守るためにあります。先ず水に溶けないために最上層は硬いタンパク質の膜で覆われています。これを角質層(かくしつそう)とか殻皮(かくひ)と呼んでいます。次に内部の層は柱や梁のような構造をしております。材質は硬いカルシウムです。魚の鋭い歯に噛み砕かれないように材料も構造も強度を十分上げているのです。この層のことを稜柱層(りょうちゅうそう)と呼びます。 そして一番内側、軟らかい体が接するところは、きめの細かい、あの美しい真珠層で出来ています。こうして見ると、貝殻は実に私たちの家屋と似ていることが分かります。自然は実に論敵的なのです