同質異像

第99回

鉛筆の芯を指しながら、友人のS氏が「この石墨もダイヤモンドと同じ炭素原子だけから出来ているんですけど、結晶構造が異なると見た目、物性そして価値も全然違ってしまうんですよ」と結晶学で言う「同質異像」のことを話してくれました。 この話に感化され貝殻と真珠の違いを考えました。 例えばアコヤ貝の貝殻内面は真珠層で出来ています。そして養殖アコヤ真珠も核の上に真珠層が巻かれています。どちらも真珠層で出来ているわけです。価値が違うことは当然のこととして、先ず両者の成因が異なります。貝殻は外套膜という貝の臓器で作られますが、真珠は体内に特別に作られた真珠袋という臓器で作られます。次に光の干渉現象が異なります。貝殻は光の反射で起こるのに対し、真珠は光の透過で起こります。これらの違いに共通しているのは、貝殻が平面、真珠は球体という「形態」の違いです。これも一種の「同質異像」なのかも知れません。