光が演じる饗宴

第122回

先日「インセクト・フェア」を見学しました。1年に1回開催される昆虫のマニア達の交換・販売会です。圧巻は蝶たちの展示です。世界三大美蝶のひとつである「アポロ蝶」、飛ぶ宝石と言われる「アグリアス」。色を刻々と変える「オーロラモルフォ」等々が、その色と輝きを競い合っていました。 ところでこれらの蝶たちが演じる美しさは、見方を変えれば光が演じる美しさとも言えるのです。美しさの仕掛けは羽の表面にある鱗粉です。鱗粉の構造や色素に光が当たって反射・吸収を複雑に繰り広げた結果あの美しさが生まれるのです。鱗粉という舞台と衣裳を提供された光が輝きや色彩を演じているとも言えるのです。同じことは真珠の場合にも言えます。アコヤ真珠のピンクも黒蝶真珠のグリーンも、真珠層が持つ構造や色素を提供された光が、球体という舞台で演じた結果の、輝きや色彩なのです。