光がつくる海と珠

第104回

最近の報道によりますと、沖縄県石垣島の川平湾が日本の観光地としてミシュランから三つ星に推薦されたそうです。此処は古くは御木本による黒蝶真珠養殖へのチャレンジが行われた地であり、1970年代、世界で初めて琉球真珠(株)によってそれが成功した海でもあります。今では「タヒチ産」が代名詞のようになっていますが、黒蝶真珠と川平湾は因縁浅くない関係があるのです。 展望台からの光景は、外海からの潮の流れが、紺色の線となって湾中央を貫き、その周囲をコバルトブルーやエメラルドの色模様が白砂の岸に向かって変化していきます。日射しの変化で刻々と変わるこの色模様は海と光の共同作業で生まれるのですが、黒蝶真珠の美しさも光との共同作業の賜物です。この真珠が持つ赤、黄、緑の色素に、光の干渉から生まれる七色が混ざり合い、目線の変化で微妙に変わる色の交響曲を作っているのです。