偶然は発見の母

第124回

「必要は発明の母」とはよく言われますが、「偶然は発見の母」も稀にあることです。真珠セミナーを受講していたご婦人が、「先生、私は黒蝶真珠を水の入った白い茶碗の中に入れて、出てくる不思議な色を見て楽しんでいるんですよ」と話してくれました。「誰かに教わったのですか」との問いに、「自分で偶然見つけたのです」。 これは凄い偶然です。というのは茶碗の中で出てくる不思議な色とは、黒蝶真珠に現れる反射の干渉色のことだからです。私たちが10年以上を費やして発見した、あのオーロラビューアー内で下半球に現れる反射の干渉色です。キーワードは「白」と「茶碗」の2つです。白は光を拡散反射します。茶碗の形状はほぼ半球状です。言うなれば、真珠の上半球に半球状の面光源が映り干渉を起こしているのです。積分球という空洞の内壁を球面に仕上げ、白い塗装を塗った光学機器がありますが、本例はその応用と言えるのです。