レイリー散乱

第75回

空の色がなぜ青いのか、この謎を解明したのはイギリスの物理学者レイリーです。従来の「空気中に浮遊する塵や水滴による散乱」という説明を覆し、太陽光が空気そのものに散乱して起こる現象であることを立証しました。これを「レイリー散乱」と呼んでいます。 青色の真珠、これをブルー系真珠と呼んでいますが、この青色の正体は真珠の中に偶に形成される黒褐色の異物が真珠層越しに透けて見えるために起こります。しかし、この青色をレイリー散乱によるものであるという学説もあります。視線に対し真横から来る光が、真珠の中の細かい粒子の散乱光としてブルーが強調される(※)というのです。 確かに「テリ」の良いブルー系真珠を白いクロスの上に置いて見ますと、真珠の縁の付近がブルー色に輝いているのが分かります。しかしこれはレイリー散乱ではなく、真珠の下半球に現れた光彩色の一部が見えているのです。黒蝶真珠のピーコックグリーンと同種の現象です。 ※金井「真珠の色について」応用物理、27,8(1958)