ナノ結晶

第86回

真珠層はタンパク質の薄い膜に包まれた微細な結晶から出来ています。この状態は、よく煉瓦の建造物に例えられ、結晶が煉瓦で、タンパク質がセメントになるわけです。直径7ミリの真珠の、核を除いた真珠層は2200億個の“煉瓦”から出来ていると説明しますと、自然の持つスケールの大きな微細さに多くの人が驚かされます。 私にとって忘れられない記憶があります。それは1971年頃だと思いますが、和田浩爾博士がドイツの学会誌に、その“煉瓦構造”が出来るメカニズムを発表しているのです。先ず、タンパク質の仕切りが出来、その中でカルシウムが結晶化していくプロセスです。思わず「なるほど!」と膝を叩いて納得したものです。 あれから30年以上がたちました。科学は常に定説を否定し進化していくものです。現在の定説は、その微細な“煉瓦”がさらに微細な結晶、名付けてナノ結晶の集合であることを明らかにしています。