第109回
「真珠の光沢の秘密、分泌物に、層作るたんぱく質2種発見」朝日新聞8月18日(2009年)の報道です。東大農学部の長沢教授らが、真珠層を形成する炭酸カルシウムの結晶が薄い層状に成長する仕組みに、2種類のたんぱく質が関与していることを米科学誌サイエンスに発表したという記事です。炭酸カルシウムの結晶形態や構造を支配しているのが有機成分であることは近年明らかにされてきたことですが、たんぱく質の配列まで突き止めたのが今回の快挙であるわけです。
晩秋から初冬にかけて水温が下がり始める頃、真珠は赤みを持ち、輝きが強くなります。即ちテリが出るのです。生産者はこの時期に海から真珠を揚げます。電子顕微鏡写真は、この時期層状の結晶は一斉に300~500nm(ナノメーター)の厚さになり、しかも整然と積み重なっていることを示しています。この層状の結晶に起きる現象の理由は未だ不明なのです。