「面」

第7回

真珠表面の円滑さの度合いを「面」という言葉で表わします。きずとよく混同されますが、きずは突起や窪みのように、表面に対し不連続な存在です。面は表面そのものが波立っているような状態を指しているのですから連続した存在です。ネックレスなどの場合はそれほど目立ちませんが、リングなどは気になる現象です。この現象を顕微鏡レベルで拡大観察すると大別して三つのパターンに分かれます。ひとつは表面の波打ちが顕著な例です。まるでミミズがのたうち回っているように見えます。二つ目は表面に微小な孔が無数にあいている例です。三つ目は“ハンマーマーク”とも呼ばれていますが、槌目のような模様が表面に広がっている例です。この正体は、結晶の山の連なりです。カルシウムの結晶が垂直方向に積み重なって山を呈するのを電子顕微鏡が見せてくれました。