「鉄則=拭く」

第14回

真珠の手入れの鉄則は、着用後拭くということです。 なぜ、拭くというこの単純な動作が、真珠の輝きを永続化させる唯一の方法であるか三つの角度から考えてみましょう。 ① 汗:人の皮膚分泌物のことです。    成分は油と水の混合物。性質は弱酸性、何よりも粘着力があります。真珠にべったりとくっつきます。 ② 真珠の表面:まるで、ピカピカのタイル張りの床のように    カルシウムの小さな結晶が敷き詰められているのが真珠の表面です。 ③ 輝きを失う:カルシウムのタイルの上に汗がくっつきます。   じわじわ汗はタイルを溶かし始めます。やがて真珠の表面のタイルは虫食いのようになってしまいます。    もう、あのピカピカさは失われます。これが輝きの消失です。 虫食いを作らないためにはこの汗という粘着物を、やわらかいクロスで拭き取り、それから仕舞う。 唯一の方法である所以です。