「真珠と貝殻」

第17回

「真珠というのはすべての面が表面から出来ています」と言うと、ほとんどの方がうなずきますが、 目の奥にかすかな不安を浮かべています。何故かすかな不安かと言いますと、 私の説明が単に視覚的に見た表面のことを言っているのではないことを知っているからです。 私は構造的な表面を言っているのです。 真珠の全表面が構造的表面から出来ているということは、これは凄いことなのです。 こんな物質は世の中にそうあるものではありません。しかし生物の世界では当たり前のことでもあるのです。 例えば人間もすべての面が表面から出来ています。体表面と言った場合、空気に接しているところすべてを言います。 しかし地雷で飛ばされてしまった人間の足は断面(切り口)と表面から構成されたものになってしまいます。 貝殻を加工した球体にしても、切ったところは断面ですから、その球体は構造的に表面と断面を持つことになります。