「満月と真珠」

第24回

憧憬:数千年にわたって培われた人類にとっての宝石としての真珠。好奇心:なぜ貝の中から真珠が出てくるのか。 この二つが相まってさまざまな神話、寓話が生まれてきました。それらの中の最高傑作が満月と真珠の話です。 満月の夜になると必ず貝は、深い海の底から海上に浮き上がってきます。そして貝殻を大きく開けて静かに待ちます。 真上にきた時、月は貝の中に一粒の雫を落とします。その雫が何年もたって真珠になるという話です。 この話がなぜ神話の最高傑作なのでしょうか。それはこの話の中に真理の一部があるからです。 貝の成長に伴い貝殻も大きくなります。貝殻が大きくなる時には、「ハサキ」と呼ばれる先端部が先ず伸びることから始まります。そしてこの「ハサキ」の伸びは必ず月2回、大潮の日だけです。大潮の日とは満月と新月の日を指します。