「核」

第16回

大きな誤解がひとつの言葉のネーミングから生まれたということは、世間ではしばしばありうることだと思います。 そのひとつの典型的例をこの核に見ます。真珠養殖にとって欠かせないモノである核です。 先ず核が無くても養殖真珠が出来ることは最近の中国産淡水真珠の存在でほとんどの方が知ったことだと思います。 いわゆる無核真珠です。 前回で述べましたように、真珠が出来るのは(養殖、天然を問わず)、真珠袋が貝の体の中にあるからです。 宝石の専門家の方々は結晶学を習得していますから、核が成長して結晶が出来ることを金科玉条にしています。 ここに誤解が生じます。貝体内に入れた核が成長して真珠が出来るという風に理解してしまいます。違うのです。 核は真珠袋の形を丸くするために入れるのです。核ではなく型が正式ネーミングだったのです。