「月の裏側、真珠の裏側」

第26回

一粒の真珠を月に例えてみましょう。 地球から見て、月はいつもその半分の面しか見せてくれません。 この月の裏側が絶対に見えないという事実は人間の御好奇心をかきたてました。 人々は想像を描きます。「うさぎが住んでいる」「宇宙人の基地がある」「月にも人が住んでいて一大都市を建設している」等々。 宇宙技術の発達はついに月の裏側の映像をとらえました。残念ながら表側と同じような荒涼たる世界でした。 話は変わります。私たちは真珠を観察する時、手のひらに乗せたり、白いクロスの上で見ます。 これは真珠の上半球だけを見ていることになります。言うなれば、真珠の表側だけを見て、裏側は見ていないわけです。 そこは荒涼たる世界ではありませんでした。クロスなどで反射され、拡散された光が七色の光彩の世界を作っていました。