「始めにテリありき」

第23回

21世紀に入った年の1年間は、前世紀間に構築されてきたあらゆるシステム、構造、枠組みが欠陥を露呈し、ガラガラと崩れ始め、それに対応するための再構築が始まったことを具体的にニュースや生活実感として体験する毎日でした。 それは真珠の世界でもまったく同じです。養殖真珠がこの世に登場したのが1907年ですから、前世紀をかけて、この養殖真珠に関するひとつの体系を作ってきたわけです。 そしてその体系が今崩れ始めているのです。 ではその体系とは何でしょうか。あえて一言で言えば「色」です。真珠の価値を色を中心に据えて展開したことです。 具体的には「ピンク色が良い真珠だ」ということを指します。ピンク色への着色が崩壊の兆しでした。 今、アコヤ、白蝶、黒蝶、イケチョウ真珠の多様化時代の中で体系の再構築が始まっています。 再構築の中心には何が座るのでしょうか。一言で言えば「テリ」です。