第8回
今からおよそ百年前に、この日本で、御木本幸吉達によって始められた真珠養殖法は
今世紀を代表する大発明であることはかなり知られている事実です。
ところが、なぜ大発明であるかというその理由となるとほとんど知られておりません。
「真珠を発明したからでしょう」では、その理由の答えにはなっていません。
貝に核を入れて作るのが養殖真珠ですから、核を入れることを発明したと思われがちですが、
そんな単純なことでは世界的な大発明とは言えないと思います。
答えは、百年前に今で言う臓器移植を発明したのです。
貝という動物のみが持っている貝殻を作る臓器(外套膜と言います)を一部移植して、体の中に貝殻を作らせる、
これが真珠養殖法の核心です。
さらに専門的に言えば、臓器移植というより再生医学という21世紀の技術です。