「保管法」

第11回

5500年前の真珠を鑑定したことがあります。縄文時代の真珠です。 触るとぽろぽろ剥がれ落ちますが、てりもあり、顕微鏡下では真珠特有の成長模様が風紋のように見えます。 地中に五千年以上埋もれていた真珠がなぜ消滅しないで存在していたのか。まず抱いた疑問です。 答えは簡単でした。その真珠は沢山の貝殻と一緒に水の中に埋まっていたのです。 見方を変えれば飽和カルシウム液の中に浸かっていたのですから、真珠のカルシウムは溶け出しません。 従って何千年であろうと真珠はそのままである筈です。 かつて日本のアコヤ真珠大量生産の時代、生産者は真珠の保存に苦労しました。 何年か保存して値上がりを待とうとするのですが、長期保管法が確立していないため、品質低下を起してしまいます。 真珠をカツシウム粉末液に漬けるという長期保管法は縄文時代から教わりました。