「ローズバット」

第18回

ローズバット、バラのつぼみのことです。こういう呼称の真珠があることを最近知りました。 実物を見てなるほどと、このネーミングのうまさに感心しました。まるでコンペイトウのようなかたちです。 小さな突起が四方から飛び出ている、バラのつぼみにとげがそのまま出たという象徴を込めたかたちです。 どうしてこのような真珠が出来るか、好奇心をもって構造分析をしてみました。 芥子(けし)粒のような真珠が貝の中に幾つか出来たとします。 するとひとつの中心になる真珠がまわりの“芥子”を“吸収します。 次々と出てくる“芥子”を“中心”は吸収し合併し大きくなります。 貝の体の中の出来事ですから、このような合併劇を想像するのですが、これはまるで宇宙での星の形成の様子とそっくりです。 あるいは巨大企業の成立にも似ていますが…。 これがローズバットの成因です。そしてこんな複雑な生理現象は養殖では不可能ですから、これは天然真珠の世界です。

※金平糖、菓子の名。氷砂糖を水に溶かして煮詰め小麦粉を加えたものに、芥子を種に入れ、かきまわしながら加熱して製する。 周囲に細かいいぼ状の突起がある。(岩波「広辞苑」より)