「ケシ」

第20回

「ケシ」とは芥子(けし)の実のように小さい真珠の呼び名です。最も小さいものは「砂ゲシ」といって、直径が1ミリ以下しかありません。このネックレスを見るたびに、その孔開けの様子を想像してしまいます。 この「ケシ」を巡って、国際会議で長い間論争が繰り返されました。「天然」か「養殖」かという論争です。 養殖用の貝から採れるのだから広義の「養殖」に入るという論点と、その形成に人間は全く関与していないから「天然」だという論点のぶつかり合いでした。 結局、「海水産真珠養殖の際の副産物として産出する無核の養殖真珠」ということで決着しています。 真珠に対する日本人のとらえ方と欧米人のそれにはいろいろ違いがあります。それらは主に生産への関与の仕方から派生しているようですが、宝石の条件である「希少性」のとらえ方の違いも大きいようです。