「まき」

第4回

真珠については数々の誤解があります。この連載では折に触れ、それらを解いていきたいと思います。「まきが薄くててりもない」とか「よく巻いているしてりもある」などと真珠のまきについてはてりと結びついた言い方がされますが。 てりとまきは全然違った概念です。まきとは核の上に巻かれた真珠層の厚さを言い、数字で純然と表されます。てりは真珠層内部から出てくる光の輝きの強弱です。極端なうすまきを別にして両者には何ら相互の関係はありません。養殖真珠とは、核という真珠とは違った物質の上に真珠層を巻かせたものを指しますから、より多く巻いた方が真珠に完璧に近付くという考えも背景にあると思います。しかし淡水真珠の養殖方法は核を使いません。その内部は芯まで真珠層なのです。養殖イコール内部の核という図式が通念になっていますが、これも間違いです。