「きめの細かさ」

第25回

真珠の品質の良さを讃えるのに「真珠層のまきがしっかりしています」、「真珠層のきめが細かいのです」の二つの表現があります。 「まきがしっかりしている」というのは、核の上に厚く真珠層が巻いていることをいい、耐久性がありますよという意味です。私の研究所では片側0.4ミリ以上巻いていれば十分という立場をとっています。たった0.4ミリですが、カルシウムの結晶のレベルから見ると1300層がそこに詰まっているからです。 「きめが細かい」というのは、なぜ「てり」が美しいか、その理由をいう時に使います。 カルシウムの結晶の1300層が、何のゆがみもなく整然と配列している状態、例えていえば、れんがの壁のような配列、電子顕微鏡でしか見ることのできない世界ですが、これが「きめが細かい」の実像です。 そしてこれが自然の妙というのでしょうが、この「きめの細かさ」は、私たちの目にはやわらかい輝きとピンクの光彩に映じるのです。