「きず」

第5回

真珠のきずも、奥深くて多様な世界です。海での養殖過程の中で出来るきずが先ずあります。 突起状、窪み状と形態は多様であり、その大きさも様々です。かつて在職していた私の会社では、「当社のブランド品は、熟練者が自然光のもとで30センチ離れてみて、縫い針の先ほどのきずが0~3個程度のもののみ扱う」ときずを厳選したものです。ほとんどの真珠は一種のエンハンスメントとして加工処理を施します。この過程で出来るのが加工きずです。ひびやスポットなど形態は多様です。このきずは真珠層の脆弱さのバロメーターでもありますから要注意です。隠れきずというのもあります。養殖工程上の一種のひずみで出来、潜在していたものが乾燥などで現われるのです。南洋真珠などに時々見かけます。最後に、金属や何か硬いものとぶつかってできる損傷きずがあります。