自然は一歩先にあり

第59回

真珠養殖の成功についての、「成功」の定義は諸見解があって、必ずしも明確ではありません。その貝を使って、その真珠が出来れば成功という単純なことではないようです。その真珠が、宝石として十分通用しえる美しさを持ち、ある一定量を持続的に産出しえることが前提になります。 貝殻の美しさから、出来る真珠も十分美しいことが予想されるマベについても、その真円真珠作りには、多くの人たちが、百年も以前からチャレンジし続けております。 真珠は出来ることは出来るのです。が、産出量は何百分の一、何よりもかたちはいびつ、筋だらけ、てりはなく、色も黒づんで、といった具合です。 先日、海外で仕入れたという真珠の鑑別依頼を受けました。驚いたことに、それは美しいマベの真円・天然真珠でした。自然は一歩も二歩も先にあります。