宝石としての真珠とは

第46回

真珠は、大多数の人々にとって今でも大切な宝石のひとつです。 この事実の背景には、真珠の持つ美しさもさることながら、「真珠は宝石である」と社会的に教わってきた一種の知識が横たわっている筈です。 この社会的知識は歴史的、伝統的に継承されているものですが、その根源に数千年以上に及ぶ天然真珠の存在があります。 天然真珠の価値の重要なひとつに希少性があります。この希少性という観点から現在の養殖真珠を見た時、そこには全く逆の現象である大量生産が存在しています。 大量に生産される養殖真珠は果たして宝石なのか、この命題の答えは以下のとおりです。 それは真珠の美しさに着目することです。かつて人類が偶然に見つけた一粒の真珠は、その美しい輝きがあったからこそ宝石になり得たのです。 大量に産出される真珠の中で、本当の美しさを持っているのはどの真珠なのか、その客観的評価こそが現代のニーズなのです。