呼吸する真珠

第47回

大切な一粒の真珠を仕舞っていて、数年たって箱を開けたら、何と二粒に増えていた、などという話を時々聞くことがあります。真珠・生きもの説は意外に根深く民衆の間に伝わっているのです。 もちろん真珠は無生物です。生物の新陳代謝の結果生まれたものではありますが。 しかし生きもののように呼吸はするのです。厳密に言えば、呼吸をしているかのように、空気を吸ったり吐いたりするのです。 大気が湿ってくると、真珠はその大気を吸います。真珠の中に湿った大気が入ってきますから、ほんの少しですが真珠は膨張します。 今度は逆に大気が乾いてくると、真珠の中の水分は外に出ていきます。その結果、これもほんの少しですが、真珠は収縮します。 日夜を問わず一年中行われるこの膨張・収縮運動が、ストレスとして真珠の中に蓄積されます。そしてある日それが切れた時、小さなひびとして現れることがあるのです。