「動物系統分類学」

第37回

私の書棚に「動物系統分類学」が並んでいます。全24冊、全巻八千五百頁の大著です。 地球上に生存するすべての動物群を分類したこの本は世界でも稀有の存在です。 何しろ刊行を始めたのが1961年。執筆者71人の内25人は他界。出版社の中山書店は数億円の赤字を出しながら、故社長の「学術出版では、売れ行きや採算がどうであれ、一度世に送り出した企画は安易に変更してはならない。真実良い本は結果として必ず報われる」を意地で守り切って完成させたものです。 真珠は、この本の5巻(上)軟体動物Ⅰ、第7鋼、二枚貝類Bivalviaの生体生産物ということになります。 冒頭の文章、「軟体動物という門の名称のように一般に皮膚は柔軟で、表面は常に粘液におおわれている粘膜であるが、とくに体の背面をおおう皮膚は特殊化して外套となっており、これから貝殻を分泌している」 そしてこの外套が体内に貝殻を分泌していまう偶発が真珠ということになります。